ブラック病院って聞くけど、それってサービス残業があるとかいじめがあるとかってことかな?
それは看護師にとってブラックな場合だね。
他にも患者さんにとっての場合や、病院自体がブラックな場合もあるよ。
私の病院は残業代が出ません!
新人いびりもひどいです。
患者さんへの対応が最悪です。
問題点を口に出せば、自分の身にも危険が及ぶ可能性があります。
このような病院はブラック病院だといえます。
しかし一つの病院しか知らなかったりブラック病院でしか働いたことがなかったりすると、それが当たりまえだと思ってブラック病院だと気付かないこともあります。
気付かないまま働き続けた結果体調を崩してしまったり、看護師としてのみならず人としてダメな人間になってしまうことも。
真面目な看護師がうつ病になったり、明るい性格の人が看護師になっていじわるな性格になったなんて話を聞いたことがある。
ブラック病院の犠牲者?
ところでブラック病院っていったい何がブラックなのでしょうか?
あなたの勤めている病院はブラック病院でしょうか?
看護師、患者、病院側のケースに分けてみていきましょう。
実際にブラック病院にいた私の経験をもとに説明するよ。
目次
看護師にとってブラック
ブラック病院と聞いてまずイメージするのが、看護師自身に負担や苦痛が及んでいる場合でしょう。
具体的には次のような場合です。
- 長時間労働やサービス残業
- 忙しすぎる
- パワハラやモラハラ、いじめ
①長時間労働やサービス残業
始業時間よりかなり早く来たり、就業時間を過ぎても遅くまで残っているという看護師も多いでしょう。
病院にもよりますが、看護師は仕事開始前に少し早く来て情報収集をしなければいけません。
自分がいなかった時の患者さんの状態や指示の変更を確認するためです。
とくに新人のうちは始業時間の1時間前までに病棟に来ていないと先輩から注意されてしまうこともあります。
もちろん情報収集の時間はサービス残業です。
先輩ナースはギリギリに来たり休憩室でヘアセットしてたりするんだよなぁ。
定時が過ぎてからも仕事が終わらないためもちろん残業です。
しかも自分が勤務時間内に終わらせられなかったという理由から、残業代も付けてもらえません。
確かに本人の時間管理がうまくなかったということもあります。
しかし、先輩の受け持ちの患者さんのナースコールまで対応したり、他の人がサボってるところを全部押し付けられたりなど、自分の仕事以上のことをして終わらなかった場合もあります。
仕事が終わってからや休日にも勉強会や委員会活動があることもあります。
仕事が終わらなければ時間外にやればいいのです(ブラック病院的思考)
私は急ぎじゃない書類関係の仕事なんかは休日に出てやっていました。もちろん無給です。
仕事中に時間を作ってやってると、「自分のことしないで終わってないところ手伝って!」と言われて出来ませんでした。
せっかく作った時間は先輩の手伝いでつぶれて残業に。
自分の時間の使い方が悪いと言われて残業代はつけてもらええません。
ちなみに先輩ナースは日中ナースステーションで座っておしゃべり。ちゃっかり記録もしてる。
そんな暇あるなら自分の仕事くらいはして!て感じですよね。
仕事押し付けられてるだけじゃん!
②忙しすぎる
特に急性期の病院はかなり忙しいことが多いです。
患者さんの入退院の入れ替わりも激しいですし、状態も変化しやすいためです。
現在入院している患者さんの看護をしつつ、これから入院してくる患者さんや退院する患者さん、手術のある患者さんの準備や対応をしなければなりません。
仕事中は常に動きっぱなしでトイレの時間すら取れないことも。
我慢した結果膀胱炎になる看護師も結構います。
看護師あるある?
私も軽い膀胱炎になったころがあります。
休憩時間は日勤の場合1時間ですが、きっちりとれないことも多いです。
本当に忙しい時は、水分補給とおにぎり1個食べて終了というような時もあります。
せっかく休憩に入ったと思ったららその瞬間呼び出されることも。
ゆっくりさせて(泣)
この仕事量、どう考えても時間内に終わらない
私は一日の予定を表にして、自分がすることの時間もあわせて記入してみたことがあるのですが、どう考えても時間が足りません。
自分がやることを減らすか残業ありきで予定を立てるしかありませんでした。
(だけどやることを減らすと先輩に注意させてしまいますね。先輩はしてないくせに!そのせいで余計に忙しくなるんですけど!)
ちなみにその予定表、先輩ナースに見てもらったこともあります。
点眼や軟膏の塗布、口腔ケアや顔の清拭まで細かく書いていたのですが、「そんなところまで書かなくていいから。」と言われました。
そこで理解したよね。
確かに点滴さえ繋いでおけば生命は維持できるけど…。
私が患者なら、目薬さしてほしいし薬も塗ってほしい。
だけど看護師は忙しいからしょうがないのかな。
いや、ほとんど座ってばかりで無駄話している看護師もいるから。
そいつが動けや~!(と思っても無駄なのだ。)
③パワハラやモラハラ、いじめ
パワーハラスメントやモラルハラスメント、いじめのあるところもあります。
特に新人さんや新入りの看護師はターゲットになりやすいです。
そのせいで辞めてしまったり精神的に病んでしまったりする人もいます。
よくある例は次のようなものです。
- 仕事を押し付けられる
- わざと大変な患者さんを割り当てられる
- ミスを押し付けられる
- 人格を否定するような発言をしてくる
- 気に入らない看護師に嫌がらせや不利な扱いをする
パワハラで病んだ看護師が自殺した例もあります。
ブラック病院は本当に危険なんだよ。
中には「患者さんのため」とか「あなたのため」とか言ってくる人もいます。
それを素直に信じてどんどん沼にはまってしまう人もいるので注意です。
とくに何も知らない新人さんや素直な人は洗脳されやすいので気をつけてください。
私が働いたことのある病院では、宗教やエステの勧誘などしてくる人もいました。
これは、この人ならうまく騙せると思って近づいてくる場合もあれば、本人が本当に良いと思っていて勧誘してくる場合もあります。
キッパリ断ると気分を害していじめの対象になってしまう事もあります。
うまくかわす必要があります。
むしろブラック病院自体がヤバい宗教団体です。
「新人はナースコールを取れ!」はパワハラ?
新人看護師として就職したばかりのころは、受け持ち人数も少なく仕事も何をしたら良いか分からない状態です。
そこで、ナースコールが鳴ったら取るように言われることがあります。
ナースコールを取って患者さんの対応をすることで対応の仕方など仕事を覚えていく機会にもなるのです。
最初は余裕もあるし、いろんな患者さんの話も聞けて勉強になる。
しかしそう思ったのもつかの間…。
ところが受け持ち人数が増えても、新人や下っ端がナースコールを取るのが当たり前になっていることもあります。
もちろん自分の担当の患者からのコールや作業を中断できるときに取るのは当然ですし、率先して取るべきでしょう。
しかし先輩ナースの患者まで対応したり、患者さんの対応や処置をしているときにも取らなければいけないこともあります。
コールが取れないと怒られることも。
いや、あなたの患者の対応してたんですけど!
…とは言えない。
しかも先輩ナースはナースステーションでおしゃべりや記録をしているのです。
新人の試練なんていう人もいましたが、おかしいと思う人はいないのでしょうか?
むしろ誰もおかしいと思わない事がおかしいと思うのです。
私はある日、認知症の患者さんを受け持ちました。
勝手に動いて怪我をしてはいけないので、車椅子に乗せて見守りながらナースステーションで記録をしていました。
先輩ナースも同じように記録をしていました。
するとそこにナースコールが。
取ってみると先輩ナースの受け持ちの患者さんからでした。
(コール対応に行かないと。でも認知症の患者さんがいて一緒に連れていくのが難しいな…)と思っていると、先輩ナースが「見とくから行っていいよ。」と言ってくれました。
そのおかげでナースコールのあった患者さんの対応をすることができました。
ん?なんか違うくない?
先輩ナースが自分の患者なんだし、記録中で余裕あるんだから、自分で行くべきじゃない?
患者にとってブラック
患者さんにとってブラックな場合もあります。
- 看護が不十分
- 虐待がある
これらの場合についても詳しくみてみましょう。
①看護が不十分
患者さんに必要な看護が行われていなかったり逆に不必要なことが行われていたりすることあるがあります。
例えば身の回りのケアや保清が不十分なことがあります。
- 口腔ケアがされてない
- 入浴時にきちんと体が洗われていない
- 発熱などを口実に長期間入浴がされていない。清拭もされていない。
患者さんやその家族は、入院したら自分が出来ないところは看護師や介護士がやってくれると思っているでしょう。
しかし中には検温や点滴、与薬や食事などやらないと残ってしまうこと以外はほったらかしという病院も実際あります。
検温すらされていないところだってあるのです。
看護師にとってはゆっくり出来るし休憩時間もしっかり取れて定時に帰れると楽なところもあります。
しかしこれではいったい何のために看護師がいるのでしょうか?
楽すること、サボることしか考えてない看護師ばかり。
私が患者なら入院費払いたくない!
②虐待がある
あまり良くない話ですが、虐待のようなことがある場合もあります。
ニュースでスマホで撮影したものが証拠として残っており、報道されているのを見たことがあるという人もいるかもしれません。
神戸の精神科病院で看護師が患者を虐待してたってニュースがあったね。
しかしそれは氷山の一角です。
病室内にはプライバシー保護のためカメラの設置もありませんし、証拠が残らない場合が現実には多いからです。
ただこれは線引きが難しいケースもあります。
患者さん側が先に手を出してきたり怒鳴ってきたり言う事を聞いてくれなかったりして、それでつい手が出たりやり返してしまうというケースもあるからです。
あるいは本当に患者さん自身が誤ってベッドから転落したりどこかをぶつけてアザが出来てしまったということもあります。
患者さんが叩いてきたからって叩き返すのもどうかと思うけどね。
そもそも叩かれるようなことをしたり言ったりしてるんだよな。
病院や経営者がブラック
最後に、病院がブラックな場合です。
患者さんや地域のためにとちゃんとしている病院もあります。
しかしお金儲けや自分のために患者さんや看護師が犠牲になっているブラック病院もあるので注意が必要です。
- 不正を行っている
- ワンマンの個人病院
①不正を行っている
不正をしている病院があるのも事実です。
どうしても大きなお金や権力が集まりやすいので、良くない経営者のもとではお金が不正に利用されることがあります。
あるいは反対に、お金や権力を得る目的のために不正が行われているということがあります。
よくある例としては、本来は医師しかできないことを看護師がしていたり、看護師でないとできないことを介護士や事務員がしていたりということがあります。
特に小さな病院など個人病院によくみられます。
どうしても医師や看護師が足りず、他の職種の仕事までしなければ手が回らないという事情もあるのです。
看護師不足や医師不足も原因かもね。
あとは未だに裏金の受け渡しが行われていることがあります。
実は私も実際にこの現場を見たことがあります。
患者さんがバッグの中から分厚い茶封筒を取り出し医師に手渡したのです。
断るのかと思いきや、医師はそっと引き出しの中に入れていました。
昔はお礼に金品を受け取ることもあったそうです。
しかしこのような不正が行われる原因となるため、現在は禁止されていることがほとんどです。
ドラマや小説の中の話だけだと思っていたけど、実際あるんですね。
お金で、本当は病気ではない患者さんを病気と診断するというようなことが行われていることもあるようです。
本人や家族が障害年金などを受け取ることが可能になるなどの理由があるようです。
他にも患者さんにとって不必要な治療が行われていたり、しなければならない事をしていないにもかかわらずさもしたかのように記録をしていることなどがあります。
それで病院側が儲かるからです。
産婦人科医の院長の不正指示なんかはこの例だね。
これは調べれば証拠が残ってるから言い逃れできないけど、証拠が残らない不正をしている病院もあるからね。
②ワンマンの個人病院
特に個人病院は、一人の医師や経営者に権限が集中するためワンマンになりがちです。
職員を使い捨てにしたり、能力で評価するのではなく自分が好きか嫌いかで判断することがあります。
そのため嫌われてしまったら最悪です。
一方的に給料や勤務の条件を変えられたり、辞めるように仕向けてきたりすることがあります。
やりたくない事やしてはいけない事をさせられそうになることも。
その指示に従っていざ何かがあった時は、全部その本人に責任を押し付けて自分は何も知らなかったようにしてみせます。
中にはそれをおかしいと思い、何とか立ち向かおうとする看護師もいます。
その場合労働基準局に相談するケースが多いです。
しかし労基は残業代の未払いなど働き方に関与する事しかできません。
不正に関してはまた別の問題になってくるのです。
そして個人が病院と対等に立ち向かうのはほぼ不可能です。
結果泣き寝入りとなってしまいます。
そのような病院は何度も労基が入っているため、逆に残業や勤務に関しては意外ときちんとしていたりします。
病院の不正に立ち向かうには、証拠とお金と時間、そして精神力が必要です。
これが難しいのでほとんどの場合は泣き寝入りになるのです。
ブラック病院でボロボロになった看護師の話
これは私の知り合いの看護師の話です。
彼女は超急性期の病院で働いていましたが、その病院がいわゆるブラック病院だったのです。
上の分類の中では、看護師にとってのブラック病院に当てはまります。
彼女は情報収集のため、毎日定時の1時間前には出勤していました。
その上ほぼ毎日遅くまで残業です。
そんな中でもたまに早く仕事が終わることがあったそうです。
他の看護師も仕事が終わっておしゃべりしながらダラダラ過ごしていました。
そのため、本人はダラダラする時間がもったいないので挨拶をして帰ろうとしました。
すると、その場にいた看護師に怒られてしまいました。
まだ介護士が残って仕事をしているのに先に帰るのはおかしいよね?と言われたそうです。
しかし、他の看護師は別に介護士の仕事を手伝うわけでもなくおしゃべりをしているだけ。
介護士に手伝うことがないか聞いても、看護師の仕事とは別の仕事なのですることはないとのこと。
介護士の仕事が終わるまでただ突っ立て待つのです。
夜勤が始まってからはさらに大変になりました。
3交代だったのですが、準夜勤(しかも残業あり)からの日勤というような組まれ方をされることも多かったそうです。
次の勤務までの間にほとんど寝る時間もなかったそうです。
そのため、睡眠不足で体はしんどいし、肌もボロボロ。
私も久しぶりに彼女に会った時に、見た目や雰囲気が本当に疲れ切っていて気の毒になりました。
さすがにこれだと体を壊すしストレスも溜まっていく一方だということで違う病院へ転職しました。
それからは少しゆとりをもって働けるようになり、顔色も良くなりました。
ゆとりができたおかげか彼氏もでき、その後結婚して子供も生まれて幸せそうにしています。
あくまでも今回はブラック病院についての話です。
もちろんチキンとしている病院もあるはずです。
しかしこのような病院があるのも事実なのです。
おかしな病院に関わらないように参考にしていただけたらと思います。
悪いことには関わりたくないな。
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悪いことしたらいつかバチが当たるはず